"SDNは世界を救う? @ SDN Conference 2014" が物凄くわかりやすかった件
SDN Conference 2014 @ グランフロント大阪 に行ってきました。
SDNが何かを漠然と知ってるつもりで参加してきました。
参考になった講演があったので詳細をまとめます。
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SDNは世界を救う?
講演者
東京大学情報基盤センター
准教授
関谷 勇司
概要
Software Defined Networking (SDN) は従来のネットワーク構築手法や運用手法を変化させる技術革新として、近年注目されている。様々な機器ベンダーがSDN に対応した製品やソフトウェアを出荷し、クラウドの構築や管理を主眼とした SDN 製品も登場し始めている。本講演では、近年盛り上がりを見せているSDN の本質とは何なのか、その適用範囲と適用手法、ならびに欠点や注意事項も含め現状の SDN の全てをわかりやすく概説する。SDN を導入すべきなのか、どの部分にいつ導入すべきなのか、研究者としての中立な立場から、最新の技術動向をふまえ、SDN の未来を語る。
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SDNの定義
SDN = ソフトウェアによって柔軟に定義されるネットワークとその周辺技術
SDNはある枠組みに従って作られた技術の総括であって技術ではない.
一方でOpen Flowは特定の技術のことを指します.
従来のネットワークとOpenFlowの差異
- 従来のネットワーク
IPネットワークは自律分散型で,それぞれのスイッチやルーターが協調して動作している
IPアドレスが識別子.通信の宛先でありすべてを示している
ルータースイッチといった機会はIPアドレスというインターネット上の番地を参考してバケツリレーしていく
- OpenFlow
あるデータを転送するにあたってどういう道筋で送るかを考える部分(コントローラ)と,
指示に従ってデータを渡していく部分を分離したモデル(スイッチ)
コントローラがすべてを決めていく.
IPアドレス以外の要素も見ながら道筋を決定していく
コントローラ側を人間がプログラムする神様モデル.
- SDN
単位は「機器」ではなく「サービス」
Application/Controller/Infrastructure といったレイヤで層別されている.
ネットワークと何かを絡めて統合的に管理するサービスのことをSDNと呼び、
ソフトウェア(API)によって制御される.
「サービス」を構築するネットワーク(狭義)とそのサービスそのもの(広義)を意味する場合がある.
きちんとした「技術」であり「ソリューション」として普及してほしい
SDNに何を期待するか?
データセンターネットワークとエンタープライズでの利用が期待されている
1. 構成「定義」をソフトウェアで
- 自動で一括管理
- netconfなどの設定プロトコル
2. ネットワーク「機能」をソフトウェアで
- 負荷分散
- セキュリティ
3. 通信制御をソフトウェアで
- オーバーレイ/ 仮想化ネットワーク
- バスの有効利用
- トラフィックエンジニアリング
- 回線帯域をフルに活用する
NFVとは?
Network Functions Virtualization
- SDNと同列に扱われるがそもそもは異なる技術
- ネットワークに付随する「※機能」を仮想化
※ 「機能」とは
IPルーティング,ロードバランシング,NAT,ファイヤーウオール,携帯網技術
「機器」や「ネットワーク」の仮想化ではなく「機能」の仮想化
主にキャリア向けの技術
実装方法
- 現状は仮想アプライアンス(VM)として従来のハードウェア機器を置き換える
- VMにすることで構成の柔軟性を実現
理想
本来は仮想化の単位すら意識せずにネットワークに機能をもたせられるべき
理想形はネットワークのPaaS/SaaS的な実現方法(VMの単位を意識せずに提供される)
まとめ
目的と手段をはきちがえないことが肝.
何を実現したいからこの技術があるのか?SDNを使って何をしたいのか,何を改善したいのか?目的がないと採用しても意味が無い.
今まではパーツを組み合わせることによりインテグレーション.
これからはやりたいことを実現するためのイノベーションでありクリエーション.
必要に応じて柔軟に修正していける点にSDNは長けている.
「ネットワーク技術」と「サーバー技術」の融合技術であり、「どちらかに詳しい」では構築できない. 仮想化環境における監視の技術が確立されていない点は現状の問題である.障害時の追及手段の確立は急務の課題である.
プロダクションレベルで利用することを考えた際はまだまだ壁がある.
普及のフェーズに載せるためにも、ベンダー各社の技術をオープン化させ、ユーザーにとっての選択肢を広げてあげる必要がある.
SDNの事業者はそもそものマーケットを広げることを考えるべき.
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